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豊国祭礼図屏風二




これは徳川黎明会に伝わる豊国祭礼図で、豊国神社所蔵のものとほとんど同じ構図の図柄である。岩佐又兵衛作と伝えられている。上の図は左隻。方広寺の大仏殿を背景に、いくつかの円陣にわかれて群舞がなされる様子が描かれている。その描き方には、狩野内膳のものより躍動感が感じられる。



これは、左隻左下部分を拡大したもの。内膳と比較すると、躍動感の相違がよくわかる。内膳はやや距離を置いて、客観的な描き方に徹しているのに対して、こちらは群衆に密着するようにして、その流動性とか躍動感を強調している。

群舞する人々は下京川西組の人々だとわかる。やはり町内会の単位なのであろう。画面上部には舞台から群舞を眺める人々が描かれている。なお、この図屏風は、明治期までは高野山光明院に収蔵され、その後蜂須賀家を経て徳川黎明会にわたった。

(紙本金地着色 六曲一双 各166.7×345.0cm 徳川黎明会 重文)





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