日 本 の 美 術 |
HOME|ブログ本館|日本文化|美術批評|東京を描く|水彩画 | プロフィール|掲示板 |
躑躅図:尾形光琳 |
![]() 光琳は、江戸在住中に姫路藩主酒井氏の庇護を受けた。この「躑躅図」は酒井氏にささげた逸品である。その後肥前黒田藩に伝えられてきた。当時の武家の嗜好は狩野派であったため、この絵にも狩野派的な雰囲気が感じ取れる。光琳は狩野派から出発したこともあって、狩野派の技法には通じていた。この作品は、しかし狩野派一点張りというわけではなく、墨の処理の仕方に雪舟の撥墨山水画の影響も指摘できる。 草花を描いているにかかわらず、前に紹介した初期の草花図とはかなり趣が異なっている。初期のものには、類型化とか装飾性が強く感じられるのに対して、この絵には自然ののびのびとした雰囲気が漂っている。 土坡をたっぷり水を含んだ墨でざっくりと描き、躑躅の枝葉を鮮やかな色彩で軽妙に描いている。水墨と顔料との微妙なコントラストが、絵に勢いを与えている。小品ながら、江戸在中期を代表する作品である。 なお、右下に道崇の朱文円印が押されており、絵の一部のような効果を発揮している。 (絹本着色 39.6×60.5㎝ 個人蔵 重文) |
![]() HOME| 琳派 | 次へ |
作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2013-2019 このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである |