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雪松図:円山応挙 |
円山応挙といえば写生画といわれるほど写実的な絵が売り物だったが、初期には伝統的な技術に乗っかった絵を描いていた。それらの絵には、構図や色彩配置に、日本画独特の特徴を見て取ることができる。しかし応挙は単に伝統を受け継ぐことでは満足しなかった。そこに自分独特のものを追加し、新鮮な図柄を想像することをめざしていた。 「雪松図」と題するこの作品は、明和二年、応挙三十三歳の時の作品である。一見して、伝統的な技法を踏まえていることがわかる。雪をかぶった松を、かなり抽象化されたかたちで表現しようとしている。 技法的に目を引くのは、「付立て」を採用していることだ。付立てとは、筆全体に墨を含ませたうえで、それを一気に引き延ばすことで、墨の濃淡とか付き具合の偶然の効果を楽しもうとする手法だ。もともとは書道で使われたが、応挙はそれを絵にも応用し、しかも偶然の効果に待つだけではなく、意識的にコントロールした。このことから応挙は、日本画における付立て技法の先駆者として位置付けられている。 かなり省略された構図からも、雪をかぶった松の樹木の存在感が伺われる一点である。 (明和二年 絹本墨画 一幅 123.0×71.6㎝ 東京国立博物館) |
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