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蝦蟇・鉄拐仙人図:曽我蕭白の世界




曽我蕭白は中国の伝説上の仙人が好きで、数多く描いているが、なかでも蝦蟇仙人と鉄拐仙人は繰り返し描いている。これはその一つ。双幅の作品で、右側に蝦蟇仙人、左側に鉄拐仙人を配し、丁度向き合うようにしている。

蝦蟇仙人は蝦蟇蛙を従えて妖術を使ったといわれる。この絵の中の蝦蟇仙人は、体を折り曲げて地上の蝦蟇蛙に何か話しかけており、その手には大きな桃を握っている。桃は長寿の秘薬だとされた。なお、蝦蟇仙人は中国ではマイナーな扱いだが、日本ではことのほか人気が高い。講談で人気の自来也は蝦蟇仙人をモデルにしているといわれる。

一方、鉄拐仙人のほうは、口から息を吹き出しているが、これは自分の魂を肉体から遊離させているのである。遊離した魂は太上老君にあうために崋山へ出かけていくのである。なお鉄拐仙人の魂が肉体のもとに帰ってくると、肉体はすでに焼かれて存在していなかった。そこで鉄拐仙人は、物乞いの死体をみつけ、その中に入ったということである。

蕭白らしく、どちらの仙人もヒョウキンな表情に描かれている。なお、鉄拐仙人の名は、つねに鉄の杖を携えていることに由来する。

(製作年不明1960年代? 絹本墨画 ボストン美術館)





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