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遠城喜八郎(英名二十八衆句):月岡芳年




「英名二十八衆句」には、正徳年間の仇討ち事件をとりあげた作品がある。これは遠城治左衛門と安藤喜八郎の兄弟が、末弟宗左衛門の仇を討とうとして返り討ちにあったというもので、「崇善寺の仇討ち」と呼ばれて、浄瑠璃や歌舞伎の題材になっていた。この仇討ちのうち、兄を芳年が、弟を香機が担当し手描いた。兄弟の名をそれぞれ入れ替えているのは、本名を表に出さない工夫である。

絵は、喜八郎が敵生田伝八郎の門弟等に矢をあびせられ、力尽きて倒れるところを描く。彼が倒れかかったところが、地蔵の足下というのがミソだ。体中に矢がささり、そこからおびただしい血が流れているが、さほど陰惨な印象は受けない。

短冊には内藤丈草の句「ぬけがらに並びて死る秋の蝉」とある。

(慶応三年<1867> 大判)





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