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平戸懐古:竹久夢二の美人画 |
「平戸懐古」と題したこの絵も、夢二の南蛮趣味の産物。夢二は、港屋を開店した1914年ごろ、南蛮趣味の作品を多く手掛けたが、その後、1918年頃に再びその趣味に戻った。その頃夢二は、たまきを避け、笠井彦乃をつれて京都へ行ったりしている。その延長で、神戸や長崎に旅したが、その折の体験が、夢二の南蛮趣味を復活させたのであろう。 平戸は、長崎の出島に代わられるまでは、海外貿易の一大拠点だった。この絵は、そうした雰囲気を背景にしているようだから、徳川時代の初期の様子をモチーフにしているつもりだろう。だが、女が手にしている傘は洋傘である、 おそらく出島を背景にしているのだろう。ひょろりと細長い女がやや身をひねり気味に立っている。海上には帆船がいきかっているが、これは不自然なほど小さく描かれている。一方女のほうは画面を覆うほどの大きさであり、あたかも和製のアマゾネスのごときである。 画面下には、オランダ語と思しき文字で、タイトルが書かれている。平戸は「FIRADO]と表記されている。 (1918年頃 絹本着色 69.5×18.5㎝ |
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