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薔薇小禽図:若冲動植綵絵




「薔薇小禽図」は、咲き広がった薔薇の花を背景に一羽の小禽を描いたものである。薔薇は三種類あり、それぞれ紅、うす紅、白の花弁を開いている。どの花も、上からの視線で描かれ、その形状はほとんど同じである。普通ならこうした描き方は稚拙さを感じさせるものだが、若冲の手にかかると、独特のリズム感を伴うようになる。

小禽は花の合間に覗いている細い枝の上にとまっている。花が上からの視線で描かれているのに対して、小禽は正面からの横の視線で描かれている。尻を上に上げ、頭部も上に持ち上げている。その視線の先には、「心遠館若冲画」という文字がある。

なお、右上方に見える、小さなブツブツのかさなった物体は、岩であろうか。薔薇の株はその岩のようなものから生えているように描かれている。(142.6×79.7cm)



これは小禽の部分を拡大したもの。小禽が薔薇の細い枝の上に、一本足で器用に立っているさまが特徴的だ。







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