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四季山水図屏風:雪村の世界




雪村は山水図をよくしたが、これはそのうちの傑作。雪村の山水図屏風としては、比較的早い時期の作品と考えられる。山水図屏風は、この頃様式的な完成期を迎えていた。それは左右両隻の端に山容を描き、両者の中間に水景を描くというもので、構図的にもっとも安定したものである。雪村は、その構図法に従ってこの作品を描いている。

この作品の特徴は、画面全体にただよう静謐感だが、それは構図の安定性にもかかわる。だが雪村は、安定のなかにも一定の変化をもたそうともしている。上の図は、左隻のものだが、適度に霞をかぶせることで、画面の単調さを破ろうとしているようだ。



これは右隻の画面。墨の濃淡を利用して、山容の表現に変化をもたらし、また樹木や橋などは、細筆をもちいて丁寧に仕上げている。右端の小滝の描き方が、白抜きを用いて微妙に仕上がっている。

(六曲一双 紙本墨画 各164.8×361.0㎝ 出光美術館)





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